暮らしと写真の提案マガジン
写真のこと
21.01.29
嶋本麻利沙
子供がもうすぐ6歳と3歳になる。家族の写真が毎年増えている。当たり前の話だけれど子供が産まれる前は撮ってはいなかった写真。今は撮らずにはいられない写真。昔から身近な日常は撮ってはいたから、それの延長線である気はする。撮るときの感覚としては一緒なのかもしれない。ハッとして、撮りたい、残したいと思う感情でシャッターを切る感じ。
けれど見返した時の感情が違う。私の中では日常で撮った風景やモノは撮ったあと「写真」になる。ただそれだけ。それはどこで撮ったか、いつ撮ったかとは関係なくなり、切り取られたものだけで完結する。写真の中に漂う空気や匂い、色や感情。何か訴えるものはあるのだけれど、とても曖昧なもので言葉になかなかできないから面白い。
家族の写真は別である。同じような感情でシャッターを切ったとしても、この写真は「記録」に変わる。見返すと今の子供達と比べてしまうし、他の記憶が蘇ったりして、家族の写真は別である。同じような感情でシャッターを切ったとしても、この写真は「記録」に変わる。見返すと今の子供達と比べてしまうし、他の記憶が蘇ったりして、つい思い出し笑いなんかもしたりして。かと思えば戻らない時間に少し切なくなり、しんみりしたり。
たくさん撮っているけれど全然足りていない。本当は全て撮って残したいくらい。こんなにも忘れてしまうかと思うほどついこの前の出来事も忘れてしまうから。
作品作品とは別の私の写真。普通に親してる自分の写真。写真がいいとか悪いとかではなく私にとってすごく大事な写真。
写真家
サンフランシスコのアートスクールで写真を学び、卒業後ニューヨークへ。作品撮りをしながらマーク・ボスウィックのインターンをし、2005年帰国。帰国後写真集、「as is」を出版。その後フリーで雑誌、カタログ、CDジャケットなどにてポートレート、風景を中心に活動。2011年マネジメント事務所THYMONに所属。個展やグループ展で作品を発表し続け、2014年夏にPola Museum Annexで個展を開催。
WEBサイト:marisa shimamoto photography Current Page:
instagram:marisashimamoto
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