山にキャンプに、アウトドアに全力を注ぐホトリ室長saorinが、愛してやまない外ごはんについて語るコラム。アルミ飯ごう「メスティン」で炊いたごはんで鰻丼を作る。
ある年始に、初詣を兼ねて高尾山に登ることになった。山ごはん始めは、景気づけに奮発して鰻丼に決定。山ごはんではあるが、何とも贅沢である。
まず鰻丼の米飯はどのように炊いているか、そこから語りたい。
使うのは、スウェーデン軍御用達・トランギア社の名作飯ごう、メスティン。アウトドア界でメスティンを知らない人はほぼいないと思われるくらい、有名な調理器具だ。一見何の変哲もないアルミの箱に見えるのだが、このシンプルな作りでびっくりするほど美味しいごはんが炊ける。
炊き方はいたって簡単。軽くとぎ、かつ水に浸していない米1合(無洗米の場合は30分以上浸水させてから炊く)をメスティンに入れ、水を内側の丸ポチ真ん中まで注ぐ。最初、バーナーの火は強めで。フタには何か石などの重しをしておくとよい。ぷぷっと噴いてきたら、火をごく弱火にして約15分。15分経過したら火から下ろし、手ぬぐいやタオルなどで全体を巻き、逆さにひっくり返して5分ほど蒸らす。元の向きに戻してからぱかっとフタを開けると、ふっくら・つやつやに米が炊けている。これをメスティンの奇跡と呼ぶ。
鰻丼は、中国産の鰻で充分美味しい。ポイントは、料理酒を少し持参して酒蒸しにすること。これは別に山ごはんでなくても家でももちろん可能だ。この日は2人で登っていたので、メスティンをダブルで使用。一つは米を炊き、もう一つは内側にアルミホイルを敷いて鰻と料理酒を入れて弱火で蒸した。ふっくら蒸した鰻をメスティン炊きたてごはんに乗せ、タレと山椒をかければほっぺた落ちる鰻丼のできあがりである。年始早々贅沢外ごはんを満喫した。
余談だが、下山時に立ち寄った高尾山薬王院でおみくじを引いたところ、二人して凶を引き当てた。(しかも、番号は七そろいなのに)ちなみに、この次の年も凶を引いた。
まあ、よいのだ、鰻丼が美味しかったから。鰻うまければすべてよし、である。