暮らしのこと

21.06.12

道具のこと – 2 -【染織と日々のすきま】

柳川 千秋

柳川 千秋

この道具、見たことがありますか? 

柳川千秋・道具のこと – 2 -【染織と日々のすきま】

これは「杼」というものです。
「杼」は「ひ」と読みます。

中心の棒に、緯糸(よこいと) を巻いた小管をセットして使います。
これを機織り機にかけた経糸(たていと) の間に通して、緯糸を入れていきます。それを繰り返すと、糸が布になっていきます。

柳川千秋・道具のこと – 2 -【染織と日々のすきま】

杼には、いろいろな種類があります。
どんなものを織るかによって、大きさ、形、厚さ、重さ などが違います。

この杼は、私が織るものにちょうどよく、とても使いやすいです。

柳川千秋・道具のこと – 2 -【染織と日々のすきま】

道具は、最初からなんとなく手に馴染むものと、使い込んでいくうちに使いやすくなっていくものがあるような気がします。

これは前者のうちのひとつ。
数年前京都に住んでいた頃、機屋さんで購入しました。

その機屋さんに伺ったとき、杼が欲しいと伝えると、引き出しの中からそっと取り出してきてくれました。

店主の方が「高齢になってきたから、今あるものが売れて無くなったらお店を閉める」というようなことをおっしゃっていたように思います。

数ヶ月後に再び伺ったとき、お店の中の品物は少なくなっていました。

それからもうだいぶ時間が経ってしまいました。 
きっと、変わったことがたくさんあります。

柳川千秋・道具のこと – 2 -【染織と日々のすきま】

この杼を購入した頃は、織りを続けていけるのか不安でしたが、幸いなことになんとか今でも続けられています。

これからもずっと使っていこうと思っている道具のひとつです。

6+

この記事を書いた人

染織家

柳川 千秋 Yanagawa Chiaki

1988年神奈川県生まれ。元理学療法士。2016年より染織を学び始める。 糸を染め、機織りをして、着物や帯、小物などを制作している。

WEBサイト:https://yanagawa-chiaki.studio.site

instagram:@yanagawa_chiaki