暮らしのこと

20.08.18

中古の織り機【染織と日々のすきま】

柳川 千秋

柳川 千秋

機織り機(はたおりき)を初めて見たのは、たしか小学生のとき。
算数を教えてくれる個人塾の先生のお宅に、それはありました。
そのときは「こういうのをやっている人もいるんだなー」くらいにしか思っていませんでした。

それから特に思い出すこともなくて、何年も経ちました。
何年も経って大人になったら、着物を織ってみたくなりました。

それから染織を勉強して、今では自宅に織り機があります。
数年前にインターネットでたまたま中古品に出会って、購入したものです。

とてもいい状態で、大切に使われていたことがうかがえました。

手織り機はとてもシンプルな構造です。
シンプル故に、いろいろな応用ができます。

織物は、経糸を浮かせたり沈ませたりしてできた隙間に緯糸を通し、
交錯させることでできています。

その浮かせたり沈ませたりする糸の組み合わせによって、様々な種類の布を織ることができます。また、打ち込みの強さや、糸の種類でできる布が変わってきます。

つくる人次第で、何通りもの布ができます。

モノは時間を含んでいると思います。

前に使っていた人は、どんなものを作っていたのだろう。
どんな生活の中にこの織り機があったのだろう。
なぜ手放すことにしたのだろう。

考えてもわからないけど、ご縁あって我が家に来た織り機です。
これから一緒にいろんなものを作ろうと思います。

古いものを使って新しいものを作り出すというのは、なんだか不思議です。

これからも どうぞよろしくお願いします
と、織り機に触れながら思いました。

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この記事を書いた人

染織家

柳川 千秋 Yanagawa Chiaki

1988年神奈川県生まれ。元理学療法士。2016年より染織を学び始める。 糸を染め、機織りをして、着物や帯、小物などを制作している。

WEBサイト:https://yanagawa-chiaki.studio.site

instagram:@yanagawa_chiaki