当たり前ですが、あなたが切り取る風景は、あなただけの風景です。
目の前に広がる風景は皆同じ。
でも、その中からどこを見て、何をピックアップしどう切り取るかはあなた次第。
例えるなら、世の中にあふれる情報。情報の場合は、読み取る力と活かす力が必要ですが、写真の場合は、見つける豊かな感受性と、どういう写真にするかと言う想像力が必要なのです。
情報を取捨選択しているように、すでにあなたは、他の誰にも見えない世界を持っているのです。
自分には個性がないなんて嘆かなくてもいいのです。
私の父は昔気質の瓦職人です。日曜日でも仕事があれば休むなんて事はしません。ただ、屋根の上の作業なので雨の日はお休みです。そんなことで、私の子供の頃の思い出は、シルバー色のボンネットにあたる不規則な雨の音と、暑いフロントガラスの上でワイパーに押しのけられる生き物のような雨粒です。
これが今の私の写真につながっていると思います。ぱっと晴れた日の、綺麗でくっきりした色ではなく、柔らかな光のしっとりした色の写真。それが私らしさ。このような事は、きっと皆さんにもあるはずです。
人を羨んだり、妬んだり、最初から物事を否定して受け入れないのではなく、軽やかに自分の中に取り入れる。
その中から、自分を見つける。そして、その見つけたものに自信を持って、自分自身を磨いていってください。
否定することからは何も生まれません。
よく言われることですが、どれだけ、小説や映画などで良い物語に出会うか、心躍る音楽を聴くか、たくさんの写真を見るかが自分らしさに影響してくる事は間違いありません。
最後に大切なことですが、自分の世界は既にある。でも、周りの人に認められるかどうかは別のこと。
評価は後からついてくるもので、追いかけるものではないと言うこと。
これを忘れると自分の世界を見失ってしまいます。