写真のこと

20.08.31

私が「素敵だな」と思う写真。【日々と写真】

川野 恭子

川野 恭子

川野恭子・私が「素敵だな」と思う写真。

突然ですが、みなさんにとって「素敵だな」と思う写真はどんな写真ですか?

今の時代、SNSをはじめとして、インターネット上でたくさんの写真を見ることが出来ます。そして、みなさん写真がとても上手。プロとして活動されていなくても、驚くほどに上手な写真を撮られるかたがたくさんいらっしゃいます。

特に、SNSにアップされる写真を拝見して思うこと、それは「既視感」。誰かの「素敵」が複製された感じ。私自身もSNSを何度となく見るうち、無意識にそうしたイメージをインプットし、アウトプットしたりしているのは間違いないです。

ただ、そうした中にキラリと輝く写真が存在して、何が違うのかと考えてみると、

・撮影者の感動が素直に伝わってくる
・撮影者らしい情報が入り込んでいる

この2つかなと。

川野恭子・私が「素敵だな」と思う写真。

漫然と撮影したものではなく、子供が何かを見つけて親に「見て見て!」というような、素直な感動に満ちた写真は、こちらも素直に共鳴し感動する。

ある程度撮りなれてくると「こうやって撮ればそれなりに見える」という経験値や既成概念が働いてしまうことが多々あります。でも、そうした写真は自分で撮ってみてもなんだか面白くない。それはきっと無意識のうちに複製されたイメージだから。

むしろ、構図がずれていたり、ピントがずれていたり、ブレたりしていてるほうが、素直で感情的な気がするし、心に残ったりするのですよね。もちろん、ある程度の基礎技術はあったほうが良いけれど、上手下手が感動に比例するとは言い切れない。

さらに言えば、現代のカメラは性能が高く、思い通りにピントを合わせてくれるし、色も手ブレも補正してくれるし、誰が撮っても等しく見栄えの良い写真が撮れる、というのも既視感につながっているのかと。

というわけで長くなりましたが、私が「素敵だな」と思う写真についてでした。

川野恭子・私が「素敵だな」と思う写真。

最後に、今日の写真は早朝の由比ヶ浜で撮影したもの。

この夏の楽しみは、自宅から1時間ほどかけて由比ガ浜へ朝ランすることでした。ランで火照った足のまま海に入る。途中コンビニで手に入れたノンアルコールビールで喉を潤し、しばし浜辺の様子を眺める。

すると、心なしか海がいつもよりキレイなことに気づいたり。この夏は海水浴客が少ないので、そう感じるのかもしれません。

由比ヶ浜には電車・車・自転車…あらゆる交通手段で訪れていますが、まさか走って訪れる日が来るとは…。走って来られる距離に自宅があることに、今更ながら感謝。

日々を残したくて写真を撮るようになり、写真が好きで山に登るようになり、山が好きでランニングするようになった。

日々が写真を紡ぎ、写真が日々を紡ぐ…そういうものなのですね。

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この記事を書いた人

写真家

川野 恭子 Kyoko Kawano

京都造形芸術大学通信教育部美術科写真コース卒業。日々と写真 主宰。 「日々が写真を紡ぎ、写真が日々を紡ぐ」をテーマに写真の楽しみかたを提案。並行して、山を媒体に自らの内面と向き合う作品を撮り続けている。写真講師、雑誌や書籍での撮影・執筆、トークイベント、テレビ出演など、多岐に渡り活動。 近著に、写真集『山を探す』(リブロアルテ)、写真集『When an apple fell, the god died』(私家版)、『はじめてのデジタル一眼撮り方超入門』(成美堂出版)他多数。

WEBサイト:http://kyokokawano.com/

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