食べること

20.12.12

東京で諸国和菓子巡り【和菓子と写真】

金森 祐芽

金森 祐芽

和菓子好きにとって、東京に住んでいて良いところ。東京には数え切れないほどの和菓子店があることと、一方で地方の和菓子にも出会えてしまうこと。百貨店やアンテナショップへ行けば、東京にいながら地方の銘菓が手に入ってしまう便利さは魅力的です。

現地へ赴かなくとも他の土地のお菓子が手に入るというのは、旅行好きとしては寂しい気もしますし、実際にお店に足を運んで買い求めたい気持ちや、行かないと出会えないものもたくさんあると思います。せっかく現地で買ったものが東京でも手に入るなんて…とちょっぴり切ない気分になることもあります。

でも移動にためらうこともあるコロナ禍、以前旅先であった和菓子に再び出会った時、気になってたけど買えなかったものが買えた時…喜び勇んで買い物カゴへ。美味しいから全て良し。

ちょっとした息抜きに、都内で諸国和菓子巡りをしてみるのも楽しいものです。

金森祐芽・東京で諸国和菓子巡り【和菓子と写真】
<薄皮饅頭/柏屋(福島)/東京柏屋(大塚)>
ほろっと口の中で透けるような優しさ、こし餡とつぶ餡どちらもあるのが嬉しい。
金森祐芽・東京で諸国和菓子巡り【和菓子と写真】
<大手まんぢゅう/大手饅頭伊部屋(岡山)/とっとり・おかやま新橋館(新橋)>
酒饅頭で甘酒のコクがたまらない。
柏屋の薄皮饅頭、東京の塩瀬総本家の志ほせ饅頭と並び、日本三大饅頭と呼ばれているそうです。何故かは知らない。実は全て東京で手に入ってしまう。

和菓子のほかにひとつご紹介したいのが、富永次郎著『日本の菓子』(1961年発行)という本。
鉄道弘済会弘報部が発行していた「あすなろ」というPR誌に寄稿していたエッセイをもとに、北海道から九州までの各地の菓子を紹介しています。

金森祐芽・東京で諸国和菓子巡り【和菓子と写真】

何気なく古本で購入したのですが、筆者のラフな絵と飾らない文章が面白い。紹介される店々は、最新のオートメーション化が自慢の店から、職人気質の菓子店までさまざまで、昭和30年代の懐かしい空気が伝わってきます。半世紀以上前のことですから既になくなっている店もあるでしょうし、いま読んでも頷いてしまう名高い銘菓も。せっかくなので、今回ご紹介の和菓子はこの本の中で紹介されていたものから、東京で手に入るものの一部を選びました。

金森祐芽・東京で諸国和菓子巡り【和菓子と写真】
<山親爺/千秋庵(北海道)/北海道FOODIST(東京)>
バター風味のきいたお煎餅。スキー板を履いた熊が鮭を背負う姿が可愛い。
金森祐芽・東京で諸国和菓子巡り【和菓子と写真】
<木守/三友堂(香川県)/ポンテせとうみ(浜松町)>
ふんわりお煎餅に、干し柿から作った餡を挟み込み和三盆でコーティング。
金森祐芽・東京で諸国和菓子巡り【和菓子と写真】
<銘菓舌鼓/山陰堂(山口県)/おいでませ山口館(日本橋)>
やわらかい求肥に中は白あん。ふわふわの口どけがたまらない。

長きに渡り愛される銘菓たちには、それぞれ誕生秘話や由来が隠されていると思います。その一つ一つをご紹介できないのは残念ですが、なかには商品に由来のしおりが同封されていたりウェブサイトで紹介されていたりします。それを読みながら食べれば、一段と美味しく。

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この記事を書いた人

和菓子が好きな会社員

金森 祐芽 Yume Kanamori

茨城県出身、多摩美術大学美術学部芸術学科卒業、現在は会社員。 和菓子と写真のほか、美術鑑賞・人形制作・旅行・お酒・映画も好き。