例えば、同じ景色を見ている人が3人いて、それぞれがその景色を「いいなぁ」と思っていたとします。
Aさん「この景色、いいね。」
Bさん「本当に。素敵だね。」
Cさん「感動しちゃうね!」
一見、同じ感動を共有しているように思えるかもしれませんが、でも、この時3人の感じていた「いいね」は、本当に同じ感覚だったのでしょうか。
もしかしたら、Aさんは、白い壁を照らす強い陽射しをいいなと思っていて、Bさんは夕陽の描き出す影が素敵だと思っていて、Cさんは光を反射してキラキラひかる枝葉を美しいと思っていたかもしれません。
同じ景色を見て「いいな」と思っても、何に惹かれているかは、実は人それぞれ。だからこそ、自分の「いいな」を写真に写すには、何をいいと思ったのかを意識することが大事です。
色、形、光、音、希望、悲しみ、怒り、可笑しさ、ノスタルジー、etc…
写真を撮る時には、自分の「いいな」の正体が一体何なのか、その正体にもう一歩近づいて感じとってみてください。
色に惹かれたなら、色が映える撮り方があります。
形なら、フォルムが際立つアングルがあります。
光が美しいと感じたなら、光が印象的に写るような撮り方を考えます。
よく「思ったように撮れない」という悩みを聞きますが、その原因は技術的なことよりもまず、撮る前にちゃんと「思えていない」ことにある場合も多いのです。
色がきれい!
形が素敵!
光が感動的!
そんな風に、自分の萌えポイントの正体を言葉にしてみるといいかもしれません。
特に写真を始めたての頃は、「なんかいいな」という漠然とした感覚だけで撮るのではなく、自分が一番惹かれている部分をしっかり意識するようにしてみてください。そうやって主役を絞る方が「何が撮りたかったのか(=何に惹かれたのか)」が伝わる写真を撮りやすくなります。
自分の「いいな」の正体を掴むクセがついてしまえば、そのうち「あぁ、なんかいいなぁ」という感覚で撮っても、無意識のうちに自分が一番心惹かれたものを主役にした写真が撮れるようになると思います。
私の場合それは、ファインダーを覗いて撮る時に「気持ちいい」という感覚で現れます。撮りたいものに出会って、ファインダーをのぞきながら構図やアングルやフレーミングを探る。ファインダーの中の光景が自分の感覚にピタッとフィットした時に「気持ちいい」と思うのです。
そういう自分だけの感覚をつかめるようになれば、写真をもっと自由に撮れるようになります。それまでは、自分の「好き」を具体的に意識することを心掛けてみてくださいね。
【ギャラリーNADARにて講座を開催しています】
リアル版 女性による女性のための写真教室については、こちら▼
【WEB版】女性による女性のための写真教室 その他の記事はこちら▼