山にキャンプに、アウトドアに全力を注ぐホトリ室長saorinが、愛してやまない外ごはんについて語るコラム。水芭蕉咲き乱れる尾瀬で、「山女日記」に登場する「みそやきそば」を作る。
湊かなえさんのオムニバス小説「山女日記」に登場する、「みそやきそば」
そのちょっと不思議な名前の山ごはんを、一度作ってみたいと思っていた。サッポロ一番みそラーメンをインスタント焼きそばの要領で作るらしいこのメニュー、やきそばで必要なのは当然フライパンだ。でも大丈夫。山ごはん好きな私はアウトドア用のフライパンも持っている。しかし、少しだけ問題があった。
フライパンって、けっこう重い。
体力温存のため、荷物を極力軽くするのが山登りの鉄則だ。調理器具類も厳選する必要が出てくる。そのためどうしても出番が少なくなりがちだったフライパンだが、今回はみそやきそばを作るため必携アイテムだ。となると、歩く山の方を楽なコースにすればよい。
というわけで、みそやきそばを作るのは尾瀬に決定。ソロで、見晴という幕営地でのテント泊に決めた。尾瀬には燧ケ岳や至仏山などの百名山があるが、それらの山には登らず、水芭蕉が満開の尾瀬をのんびり歩いて楽しむことにした。
思っていたよりもだいぶ暑く、ちょっとばて気味になりながらも、見晴の幕営地に到着。さっそくテントを張る。地面が土なのでペグも差しやすい。天然のベンチ(木)もある。しかも、ここを管理する燧小屋には、テン泊者も利用できる風呂もある。なかなか快適な、いいテン場だ。
お腹が空いていたので、さっそくみそやきそばの調理にかかる。まず材料を取りだしたところ、さっそく悲劇が私を襲った。日中の気温が高すぎて、やきそばに入れようと持参したソーセージがダメになっていた。がーん。でも室長はめげない。もりもり野菜メインのみそやきそばを食べてやる。
フライパンに麺を投入し、水(150ccくらい)を入れて沸騰させ、水分を麺に吸わせる。麺が水分を吸ったら野菜類を投入。野菜がしんなりしたら粉末スープを投入し、最初に作っておいた目玉焼きをのせてできあがり。さっそくほおばる。うん、食感はやきそばなのに味はサッポロ一番みそラーメンだ。なかなかおいしい。私の定番山ごはんメニューの一つに認定された。
翌朝。今回は出番の少ないフライパンを最大限に活用すべく、朝ごはんはくりぬきトーストにした。
食パンを耳ぎりぎりまで四角くくり抜いて、割りほぐした卵、ハム、チーズを穴に入れ、くり抜いたパンのフタをして両面焼く。地面に傾斜がついていて卵が流れ出してしまったが、なんとか完成。
昨日のソーセージがダメになっていたことを考えるとハムとチーズは大丈夫か?!(匂いはなかった)とぎりぎりまで食べるのを悩んだが、結局食べた。お腹は大丈夫だった。
ちなみに、この尾瀬ソロテン泊で、とある事件が起こった。それについてはこちらのコラムにて。(別サイトリンクです)