写真のこと

20.08.29

ドリップコーヒーと自宅暗室

junichiro kano

junichiro kano

ドリップコーヒーと自宅暗室

この2つの単語を見て、皆さん何を想像されるでしょうか?自宅暗室でコーヒー現像?なんて思い浮かべるマニアックな方もいらっしゃるかもしれませんが、今日はそういう話ではなくて、この2つに共通しているような、していないような、そんなふわっとしたお話です。

あれこれ試して原点に戻る

まずはコーヒーの話から。私は凝り性なので、何かと興味を持つと深いところまでやりたくなってしまうのです。コーヒー抽出もその例に漏れず、ドリップの道具を揃えたのはいつだったか忘れてしまいましたが、その後サイフォン、フレンチプレス、エアロプレスを入手してあれやこれや豆を買ってきては抽出方法を変えてみたり条件を変えてみたり、これってフイルムの現像に似ているかもしれない…(この辺の細かい話はまたいずれ機会があれば)

数年ほどあれこれ試して、美味しいコーヒーやさんで高い豆(知らない人が聞くと呪文のような名前の豆、エチオピアイルガチェフェカツーラナチュラルとか)を買ってきてこだわって淹れるなんてことをしていたのですが、よくよく考えると家でじっとしていることができないタイプの私、平日は仕事、週末は遊びに出かけてしまうため、購入したコーヒー豆はなかなか淹れられることがなく酸化していってしまう…なんてことも多々ありました。

junichiro kano・ドリップコーヒーと自宅暗室

朝起きて淹れるようにすればいいのだけれど、ハンドミルで豆から挽く手間を考えると結局面倒になって淹れるのをためらってしまうのです。そこで、抽出方法は最もシンプルなペーパードリップ一筋に。ハンドミルは電動ミルにアップグレードし、豆も近所のカルディで購入した豆を使ってこまめに淹れるようになると、当然ですがこれはこれで美味しいものなのです。

良い豆を使ったコーヒーは、プロが淹れてくれるカフェや喫茶店に行って飲む方がいいなと気づいてからは、家で飲むコーヒーにあまりこだわることをしなくなってしまいました。でもこれでいいと思うんです。家は家の良さがあるし、外は外の良さがある。どっちが良いとかじゃなくて、どっちも良い。

買い揃えた道具も今は棚の奥にしまい込み、結局最初に買った(サイズの問題で一度買い替えたけど)ハンドドリップのセットだけが今でも活躍しています。一周回って元に戻ってきたわけなのですが、師匠(勝手に呼ばせて頂いています)の言葉を借りれば「一周回って戻ってきても視点は一段高くなっているものである」のでよしとしましょう。

自宅暗室とレンタル暗室

ここで自宅暗室の話に移ります。私は住んでいた環境の関係もあり、初めての暗室は自宅暗室でした。当時教えてくれる人もおらず、インターネットを駆使した独学で方法を学び、試行錯誤の末なんとかプリントできるようになりました。

それ以来、自宅暗室があるのだからレンタル暗室を使う必要性もないだろうと思い、ひたすら自宅暗室でプリントをする日々でした。しかしある時、暗室のWSに参加したことをきっかけに、一つの暗室で数人が集まってプリントするということを経験しました。これがめっちゃ楽しくて、すっかりハマってしまいました。

junichiro kano・ドリップコーヒーと自宅暗室

そのWSが開催された暗室は毎週決まった曜日に開放され、WSに参加者が思い思いに集まってプリントをする場として提供されており、私は自宅暗室があるにも関わらず、いつの間にか定期的にその場に参加するようになっていました。なんなら行くだけでプリントしないなんてことも多々…

コーヒーの話と同じように、家には家の良さがある(暗室の場合、時間気にしなくていいとか)のですが、外には家にはない魅力があるなぁということに気づかされた私の経験談です。

昨今、お出かけして好きなカフェで美味しいコーヒーを飲む、なんてこともなかなかやりづらい世の中になってしまっていますが、それでは逆に自宅で楽しめることを探してみるのも良いかもしれません。自宅暗室は少しばかりハードルが高いかもしれませんが、ちょっとひと手間かけてコーヒーをドリップしてみたりなんかすると、新しい世界が見えてくるかもしれません。(コーヒーが苦手な方は、お茶をこだわって淹れてみるなんていうのも楽しいかもしれません)

8+

この記事を書いた人

ビール王

junichiro kano

モノクロフイルムとビールをこよなく愛する一児の父。 毎日の記憶を記録するために日々他愛もない写真を撮り続けている。 週末の楽しみは写真散歩とビアバー巡り。好きなビールは志賀高原ビール。

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