先日、愛用していたうつわが真っ二つに割れてしまいました。
シンプルなそば猪口なのですが、スープカップにしたり、ちょっとしたおかずを入れて小鉢にしたり、気が付くと良く手にしていました。
何となく捨てられず、かけらを取っておくこと数か月。
そうこうするうちに、今度はフランスからお取り寄せしたうつわのうち1つが粉々に…
70~80年前位のアンティークで、植物のデザインが和食器っぽいと思い、購入しました。
どちらもせっかく縁あって、自分の手に渡ったものなので、ぜひ元通りにしたいと思い、「金継ぎ」で直してみることにしました。
金継ぎとは、割れや欠け、ヒビなどの陶磁器の破損を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法です。
私が今回体験したのは、かぶれる心配のない「新うるし」や代用金などを使って1日で仕上げる『現代風金継ぎ』。本格的な金継ぎは、半年ほどかかりますが、自宅でふだん使いするうつわ用なら、この手法で十分です。
金継ぎの魅力は、割れやかけの修理にとどまらないこと。染付のそば猪口も、つなぎ合わせたヒビの部分に、筆で金を入れることで華やかなうつわに生まれ変わりました!
つまり、金継ぎによって、新しいデザインの別のうつわになるのです。金継ぎが気に入り、うつわが割れるのを楽しみにしてしまう方もいるそう。
また、粉々に割れたフランスのアンティークは、パズルのピースをあわせるように格闘すること2時間。とりあえず形は復元できたので、自宅で金を施し仕上げました。私は内側の柄を楽しみたいので、アクセサリートレイにしてみました。
ちなみに、新うるしは毒性が少ないですが口にすることは好ましくありません。熱に弱いため、あたたかい料理を盛り付けない。レンジ・食洗機は使用しない事に気を付ければ気軽に使うことができますよ。
ものを処分して身軽に暮らすこともいいですが、気に入ったものは直して長く愛用することも大切にしたいですね。
金継ぎは1度やり方を覚えると、自宅で再現できます。最近は道具がセットになったキットもあるので気軽に始めることができます。
うつわを自分で直せる一生モノのスキルを身に付けて、お気に入りのうつわを長く使う習慣を始めてみてはいかがでしょう。