写真のこと

20.07.16

フィルムカメラの魅力【フィルムカメラのよもやまばなし】

山本 裕太

山本 裕太

みなさん、フィルムで写真撮ったことありますか?

山本裕太・フィルムカメラの魅力

デジタルネイティブな10代の人たちでは存在すら知らないかもしれないですね。

そして今や、デジカメどころかスマートフォンでさえ、一眼レフ顔負けの写真が撮れるのに24枚撮りや36枚撮りといった枚数に限りのあるフィルムをカメラに詰めて写真を撮る人たちもいます。

話は少し変わりますけど、みなさん、コーヒー好きですか?
ぼくはコーヒーはよく飲みますし、美味しい不味いの区別はつくものの、あまりこだわりはなくコンビニの100円コーヒーでも、なんなら缶コーヒーでも満足できます。

だけど、周りにいませんか?
朝からゆったりとコーヒーの豆を挽き、ポットでお湯をそそぎ、その香りから楽しむ人。

皆さん、運転はしますか?
ぼくは運転しますけど、基本ある程度快適に動けばいいだけで、こだわりはありません。強いて言うなら、iPhoneの音楽が聴けるようにBluetoothで接続出来れば、まぁなんでも。なんなら軽でも可です。

だけど、周りにいませんか?
絶対オートマの方が楽なのに、マニュアル車で運転そのものを楽しむ人。

フィルムカメラを楽しむというのは、それと一緒なのではないかと最近思います。

コーヒーを豆から挽いて香りやその“時間”を楽しむ人、
レバーを握りながらその操作感や運転している”時間”そのものを楽しむ人、
大切な瞬間を切り取る為に設定を一つ一つ変えながら、カメラを操作をしている感触や”時間”を楽しむ人。

デジタルでなければ、絶対に撮れない写真があるのも事実です。
超高感度での夜景や星空の写真や、超高速連写で膨大に撮影し、あとで決定的瞬間を選ぶようなスポーツ写真等々、特に高速連写で撮る様は、もう最早ムービーを撮っているかのような感覚に近いのではないでしょうか。
どちらかというと、撮影後の写真の取捨選択と編集もありきの場合もあります。

だけど、フィルムカメラの場合の大抵はそうは行きません。
じっくりと被写体に向き合い、フルマニュアルであれば、一つ一つを手動で設定し、シャッターを切る。
そこまでの時間と手間と、その場面を切り取るまでの作業の難しさと愛しさが混ざり合って、更に現像後の仕上がりが期待以上だった時の嬉しさは、本当にかけがえのないものになります。

山本裕太・フィルムカメラの魅力

フィルムカメラで撮る理由は様々あると思います。
一つ一つを操作しながら撮る“時間”と大切な被写体と向き合う”時間”が必要であることが、フィルムカメラを素敵だなと思う理由の一つなのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

カメラの山本商店(仮) 兼 三葉堂寫眞機店スタッフ

山本 裕太 Yuta Yamamoto

フィルムカメラの楽しさを知ってもらうべく、いろんなカメラ屋やイベントに出没して、カメラの販売に携わる。 今は三葉堂寫眞機店に腰を据えながら、ナダール内を間借りして自分で仕入れたカメラも陳列中。

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