写真のこと

20.08.18

もう一歩「いいな」の正体に近づいてみよう!【女性による女性のための写真教室 WEB版】

早苗 久美子

早苗 久美子

例えば、同じ景色を見ている人が3人いて、それぞれがその景色を「いいなぁ」と思っていたとします。

女性による女性のための写真教室

Aさん「この景色、いいね。」
Bさん「本当に。素敵だね。」
Cさん「感動しちゃうね!」

一見、同じ感動を共有しているように思えるかもしれませんが、でも、この時3人の感じていた「いいね」は、本当に同じ感覚だったのでしょうか。

もしかしたら、Aさんは、白い壁を照らす強い陽射しをいいなと思っていて、Bさんは夕陽の描き出す影が素敵だと思っていて、Cさんは光を反射してキラキラひかる枝葉を美しいと思っていたかもしれません。

同じ景色を見て「いいな」と思っても、何に惹かれているかは、実は人それぞれ。だからこそ、自分の「いいな」を写真に写すには、何をいいと思ったのかを意識することが大事です。

色、形、光、音、希望、悲しみ、怒り、可笑しさ、ノスタルジー、etc…

写真を撮る時には、自分の「いいな」の正体が一体何なのか、その正体にもう一歩近づいて感じとってみてください。

色に惹かれたなら、色が映える撮り方があります。
形なら、フォルムが際立つアングルがあります。
光が美しいと感じたなら、光が印象的に写るような撮り方を考えます。

よく「思ったように撮れない」という悩みを聞きますが、その原因は技術的なことよりもまず、撮る前にちゃんと「思えていない」ことにある場合も多いのです。

色がきれい!
形が素敵!
光が感動的!

そんな風に、自分の萌えポイントの正体を言葉にしてみるといいかもしれません。

特に写真を始めたての頃は、「なんかいいな」という漠然とした感覚だけで撮るのではなく、自分が一番惹かれている部分をしっかり意識するようにしてみてください。そうやって主役を絞る方が「何が撮りたかったのか(=何に惹かれたのか)」が伝わる写真を撮りやすくなります。

自分の「いいな」の正体を掴むクセがついてしまえば、そのうち「あぁ、なんかいいなぁ」という感覚で撮っても、無意識のうちに自分が一番心惹かれたものを主役にした写真が撮れるようになると思います。

私の場合それは、ファインダーを覗いて撮る時に「気持ちいい」という感覚で現れます。撮りたいものに出会って、ファインダーをのぞきながら構図やアングルやフレーミングを探る。ファインダーの中の光景が自分の感覚にピタッとフィットした時に「気持ちいい」と思うのです。

そういう自分だけの感覚をつかめるようになれば、写真をもっと自由に撮れるようになります。それまでは、自分の「好き」を具体的に意識することを心掛けてみてくださいね。

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この記事を書いた人

編集長/写真家

早苗 久美子 Sanae Kumiko

写真家、NADAR店長、写真生活手帖編集長。 南青山の写真専門ギャラリー「NADAR(ナダール)」にてギャラリー運営の実務全般を担当するほか、写真教室やワークショップの講師としても活動。写真家としても継続的に作品を制作・発表しているほか、「写真と言葉」をテーマにした活動の一貫として、自身が撮影した写真でポストカード制作し定期的にお手紙をお送りする「お便りプロジェクト」にも取り組んでいる。

WEBサイト:草原の夢

WEBサイト:東京・南青山/写真ギャラリー&写真教室のナダール

instagram:@kumiko.sanae_nadar