暮らしのこと

20.10.06

植物から糸をつくる【染織と日々のすきま】

柳川 千秋

柳川 千秋

葛(くず)という植物を知っていますか?
マメ科クズ属の多年草です。秋の七草のひとつですね。
どんどんツルを伸ばして土地を覆っていってしまうので、厄介がられる植物でもあります。
結構どこにでもあるので、気にして見てみたら近くにあるかもしれません。

日本では古くからこの葛の繊維からつくった布が使われていたそうです。
葛布(くずふ)と呼ばれ、現代では着物の帯や小物類、壁紙などに使われています。

柳川千秋・植物から糸をつくる【染織と日々のすきま】

いつもは糸を購入して、そこから染織をはじめるのですが、糸をつくるところからやってみたいと思いました。
また、やるなら身近な素材でつくりたいと思いました。ではどうしようかと考えたとき、葛のことを思い出しました。

実際につくってみたので、簡単に工程を紹介したいと思います。

柳川千秋・植物から糸をつくる【染織と日々のすきま】

葛のツルの部分を数本束ねて、ときどき上下を返しながらお湯で茹でていきます。

柳川千秋・植物から糸をつくる【染織と日々のすきま】

刈り取ったススキの上に、茹でて水につけた葛の束を並べます。
さらにその上をススキで覆います。

柳川千秋・植物から糸をつくる【染織と日々のすきま】

数日して発酵が進むと、葛の表面がはがれやすくなります。
そうなったら水で綺麗に洗い、繊維を取り出します。

柳川千秋・植物から糸をつくる【染織と日々のすきま】

取り出した繊維を乾燥させます。

柳川千秋・植物から糸をつくる【染織と日々のすきま】

繊維を割いて、1本ずつ結んで糸にしていきます。
光沢のある、きれいな糸になりました!

このあと、この糸を緯糸(よこいと)にして布を織りたいと思っています。

こんなふうに作業を進めていきました。作業に夢中で写真を撮り忘れた工程もありますが……。
撮るほどでもないかなと思うところも、撮っておくと、後からそのときのことを思い出せたり、なんとなくそのときの場の雰囲気や季節や印象を思い返したりできるので、やっぱり写真はいいなと思います。



突然ですが、いま着ている服が何からできているか、
どんな風につくられているか、考えたことはありますか?

いま着ているこの服も、クローゼットの中のあの服も、どこかで素材が調達され、それを糸にして、染めて、織って、布になって、裁断して、縫って、やっと「服」になったのだと思います。
最近はたくさんの服が安価で手に入るので忘れがちですが、きっと長い時間と手間がかかっています。

つくることを遡って自分で体験してみると、
物をつくる大変さや自然の大切さがより見えてきます。

そして、それを誰かに伝えられたらいいな、と思います。

Instagram(@yanagawa_chiaki)で、もう少し詳しく工程を書いています。
よかったら覗いてみてくださいね。

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この記事を書いた人

染織家

柳川 千秋 Yanagawa Chiaki

1988年神奈川県生まれ。元理学療法士。2016年より染織を学び始める。 糸を染め、機織りをして、着物や帯、小物などを制作している。

WEBサイト:染と織 秋 ONLINE SHOP

instagram:@yanagawa_chiaki