こんにちは。こんばんは。はじめまして。八木香保里と申します。写真を撮ってます。
私が撮影時に使うのはフィルムカメラとデジタルカメラとスマートフォン、なかでもよく持ち出すのはフィルムカメラです。一般的なフィルムよりも少し大きめのサイズのフィルムを使う中判カメラで撮る機会が多いです。
これはガラスに反射した自分の姿を撮ったもの。いつもこんな風に上からファインダーを覗いています。手にしているのは「ペンタコンシックス」という東ドイツ時代につくられたカメラ。写りは好きなのですが色々と難があり人にお薦めできず、使うには少々覚悟の要る機材です。
地面に生えている小さな草を好んで撮ります。カメラを地面に置いて土下座よろしく「地球とお友達」状態になることもしばしば。何も知らない人に「しんどいですか?」とか「大丈夫ですか?」と声をかけられることもしばしば。優しい人の存在を知る日々です。
フィルムカメラでの撮影経験がある方はお分かりかと存じますが、このようなカメラはシャッターを切ってもどのように写っているかすぐに見ることができません。どこで、何を、どんな順番で、どんな風に撮影したかを知るには、撮影済みのフィルムを現像処理する必要があります。
そこで頼りになるのが写真屋さんです。写真業界もデジタル化が進む昨今、街中の写真屋さんの数も減少傾向にあることは否めません。幸運なことに、私の場合は暮らす街にお店があるのでそちらに直接出向いて「お願いします」となるわけです。
三月半ば、植物が動き出す季節。外を歩いていると気になる草があり、写真を撮りました。小さな草に小さな花が咲いていて、私は相変わらずの土下座スタイル。人通りの少ない時間帯に一人うずくまって何やってんだろう…と頭のなかでぶつぶつ言いながらファインダーを覗きます。いつもこんな感じ。
この日は鞄にカメラを入れて近くを散歩し、フィルムを一本撮り切りました。35ミリフィルムと異なり、中判のフィルムは撮影できる枚数がより少なく限られます。私が使用する機材ではフィルム一本で12枚撮ることができます。一度に使い切ることは滅多にないので、この日はとても珍しかったのです。
フィルムを現像に出そうとしたときのこと。「何を撮ったんだっけ?」と振りかえります。デジタルカメラのようにすぐに確認することはできません。撮るたびにメモすれば良いものの脳の片隅に置きっぱなしの横着な私、記憶が鮮明なうちに覚えやすい言葉にしてみました。
草、草、花、花、花、花、花、草、草、猫、猫、草。撮った順に並べ声に出してみるとシャッターを切った場面がポンポンと蘇るのが面白く、その様子を何となしにツイッターに呟きました。「草草花花花花花草草猫猫草、今日の十二枚」、こうしてタイトルの「今日の十二枚」が生まれました。
二番目の「草」、六番目の「花」、十番目の「猫」です。その後「今日の十二枚」はハッシュタグにして、フィルムカメラで撮影するたびツイートを兼ねてメモしています。素早く記録できるので、撮影の余白も書き込んでいます。それらをSNS上に公にすることで「写真を撮ることの面白さが少しでも伝われば」という細やかな狙いもあります。フィルムで撮ってデジタルで記録、妙な関係性だけどこのやり方で少しずつ定着していきました。
この「写真生活手帖」でも、タグをタイトルにして文章を書くことにしました。写真をお見せした際によく聞かれる「どうしてこれを撮ろうと思ったのですか?」にお答えしようと思います。お付き合いくださると嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
草、草、花、花、花、花、花、草、草、猫、猫、草。#今日の十二枚(20.03.13)