染織家
柳川 千秋 Yanagawa Chiaki
1988年神奈川県生まれ。元理学療法士。2016年より染織を学び始める。 糸を染め、機織りをして、着物や帯、小物などを制作している。
WEBサイト:https://yanagawa-chiaki.studio.site
instagram:@yanagawa_chiaki
暮らしのこと
20.10.13
「おこもり時間に読みたいオススメの本」ということで、2冊の本を選んでみました。
1冊目は、吉田篤弘 著『レインコートを着た犬』
2冊目は、野矢茂樹 著 植田真 絵『はじめて考えるときのように 「わかる」ための哲学的道案内』
です。
この2冊を選んだ理由は、読み終わったときに、普段と違う目線で物事を考えてみるヒントをくれるから。
以前と比べて、家にいる時間が増えている方が多いのではないかと思います。こんなときだから、いろいろなことをいつもと違う角度から考えてみてはどうでしょう。普段見過ごしてしまうようなことが、見えてくるかもしれません。
月舟シネマという映画館にいる犬、ジャンゴの目線で語られるお話です。
寂れた映画館を経営している青年、そこでパンを売っている女性、映画館の常連たち、雨を研究している先生、近所の食堂や果物屋の人々。個性的な登場人物たちのやりとり、町の中で起こる出来事を、犬は犬なりに考えています。
月舟町の人々は、それぞれに迷いや考えを抱えながら、なんとか生きています。
それは犬だって同じ。人間と違う視点からみえる世界を考えてみると、今まで気づかなかったことが見えてくるかもしれません。今いる場所、していることに迷った時に、読み返したくなる小説です。
吉田篤弘の著書で月舟町という町を舞台にした小説が、「月舟町・三部作」と呼ばれています。1作目は「つむじ風食堂の夜」、2作目は「それからはスープのことばかり考えて暮らした」、そして3作目が「レインコートを着た犬」です。それぞれ違う主人公の目線で語られていくお話で1冊でも楽しめますが、3冊読むとより月舟町の世界観にはまって楽しめると思います。
考えるって何をしているのでしょう?その「考える」とは何かを、考えていく本です。なんていうとちょっと堅苦しい感じがしますが、柔らかい語り口と、たまに差し込まれる冗談がくすっと笑える、とても読みやすい本です。
また、絵もすてきです。その場にすーっと馴染んでいくような優しい絵で、この絵があることで、本の内容が少しずつ引き立っていくように感じます。 読み終わったら、きっとまた読みたくなる本だと思います。
考えなければならないことって、誰にでもたくさんあると思います。「考えること」がよくわからなくなったとき、そもそも考えるとは何かというところに返ってみると、頭の中のもやもやが晴れてくるかもしれません。
どの本を選ぶかとても迷いましたが、今回はこの2冊を紹介させていただきました。この2冊には、考えるもとになるものが書かれている気がします。そして、何かを続けること、続いていくこととはどういうことか、考えさせられる内容です。
いつもより少し時間ができたら、本を読んでみてはいかがでしょう。なにか新しい発見があるかもしれません。
染織家
1988年神奈川県生まれ。元理学療法士。2016年より染織を学び始める。 糸を染め、機織りをして、着物や帯、小物などを制作している。
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instagram:@yanagawa_chiaki